思えば、人見知りでいつも不安症で、もしかしたら再発するかもしれないメニエルを抱え、少々HSP気味の私が、よくもたった一人で大冒険をしたものだ。
それほどまでに、憧れていた「留学」だった。
ただ、体調は最後まで気になったので、事前に数種類の「精神安定剤(睡眠剤)」を処方してもらっていた。枕が変わると眠れない。神経はものすごく細い。
万が一、めまいの発作が出た時に見せるメモも作成。
後はタブレット端末さえあれば、何とかなるはず。と心を決めたのでした。
結果、睡眠剤は毎日飲むこととなり、最終日にはもう確実に体が悲鳴を上げているのが自覚できた。2週間が限界だった。
毎朝、「Good morning!How’s your sleep?」と聞かれ、笑顔で「Good sleep!」
と答えるのは結構辛かった。ちっともGOODじゃないし。
方向音痴問題もあった。
タブの位置情報はWi-Fi圏外では使えない。
登校二日目にお弁当を忘れて、慌てて家に戻る途中に道に迷い、授業に遅刻するという失態を犯して以来、持って行ったデジカメを常にぶら下げ、曲がり角やら、あらゆるポイントを映しまくって、来た道を記録に残し、迷わないように必死。
あと有料トイレ。小銭が必須なのだが、持ち合わせていなくて、ドラッグストアに駆け込み、ドリンクを買って、「とにかくトイレに行ける小銭でお釣りをくれ!!」と片言の英語で必死で訴えた。レジのお姉さんは?? でも、なんとか小銭をゲットして無事トイレに入ることができた。あとで聞くとそのドラックストアの隣のデパートに無料のトイレがあったようだ。到着翌日の話。
馴染みのない無人レジの使い方がどうにもわからなくて、入口の警備員に聞いたり、チケットの買い方がわからないときも、いつも「私はこれを買いたい」とか「ここへ行きたい」とか「I want・・・」という主張さえすれば、どうにかなるということを学んだ。
国民性という点では、イギリスは欧米のどの国よりも馴染みやすい気がした。
少々上から目線ではあるが、律儀で、雑なところも少なく、伝統を重んじていて、文化的にも、私の大嫌いなチップが必要なかったので、たった2週間だけだったからかもしれないが、実に暮らしやすかった。
クラスでの出来事も面白かった。
エピソード①
私の消しゴムが失くなってしまった。
見ると、隣のオマーン人が似たようなのを持っていて、「これあなたの?」ときくと「そうだよ」。
「失くしたから貸して」というと「オッケー」と気よく貸してくれた。
見ると、思い切り日本語が書いてあるトンボ鉛筆製の。私のじゃん。
「これ私のだよ」というと、「そうなの?弟がくれたやつと思ったんだ」
オマエの弟は日本人なのか?
エピソード②
「夕食の後は何をしていますか」とのテーマで彼は「play」と言ったので、「何して遊ぶの?」と聞いてしまった。お互い??となり、先生が割って入って「彼はprayと言ったんだよ」と教えてくれた。おお~祈るのか。カルチャーショック!!
彼は不満げに「食後は祈るのが当たり前だろ」と言った。
私は仏教徒だ!
エピソード③
ペアワークの時、
「ここは主語がheだから疑問形はdoesで始まるよ。doじゃない」と言っているのに、「いやdoだ!」と」言い張るイスラエルの青年。
「違うって言ってるやろ!」と大阪弁でまくし立ててしまった。先生から答えを聞くと、「ほら僕の言った通り doesだ!」と
オマエの記憶はすり替わるのか
エピソード④
みんなでSt.Ivsへ行ったとき、私が買ったソフトクリームを見て、「美味しそう!一口ちょうだい!」と私が食べる前に、なんなら承諾する前に、あっという間にパクリと半分ほど食べたコリアン女子。「Thank you まあまあね・・・」とニコニコ笑って立ち去った。
あまりのことに立ち尽くす私。
自己主張が強くないと生きていけない世界
日本でいう「遠慮する」とか「配慮する」とかは、多分英語では表現しにくい。直訳はどうもしっくりこないから、おそらくそんな心情は、日本文化圏以外では理解しがたいものなんだろうな。「遠慮のかたまり」なんて意味不明!?これは日本でも若者には意味不明かも・・・
同様に表現しがたかった英訳が、日本でよく使われている、「お世話になります」「お手数かけますがよろしくお願いします」。
ホストファミリーに事前に手紙を書いた時、どうにも、表現に苦労した。
食事の時の、「腹八分目」とか「八分目の文化」なんかも。
そういえば、
宗教の話はタブーなのだが、ずっと前に英会話学校で、日本人の宗教観みたいな話の時に、「家にはそれぞれ宗派みたいなものが存在するんだけれど、それ以外にも日本には神様が沢山いてね・・・ 火の神とか、海の神とか、山にも神様がいてね・・・八百万(やおよろず)の神というんだけど・・・」 とがんばって、説明してみたものの?????いう顔をされた。
「トイレの神様」なんて、もはや理解不能だろうな。
欧米圏に行くと、みんな背が高くて格好よく見えるし、どんな人でも英語喋れるし、「英語圏に生まれたかったな~」と思うこともあったけど、それ以上に「日本人でよかった~」と思うことが多かった。
平たい顔族で、同調圧力が強く、村社会の島国ニッポン、ではあるけど、謙虚でお行儀がよく、衛生的で、教育の行き届いた日本に生まれて育って、息子に言わせると、日本で生まれたというだけで、人生8割ラッキーなんだと。
でも、ちょっとは海外に出て、文化の違いやスケールのデカさを知って欲しいと思う母なのです。実体験から、日本の「あたりまえ」が実はそうでないことが多いことも学んで欲しいのです。
言葉だけなら、ポケトークが進化を続けているから、これからは、何とかなるらしいけどね。
私は、言葉では言い表せない、あの空気感が体験できて、たった2週間のホームステイだったけれど、本当によかったと思っている。それはあの時50歳の私だから感じたことだろうから、歳だからとか、体調が、とか、仕事が、とか言い訳せずに、諦めずによかった。
この執念深さをはじめて褒めてあげたくなったのですよ。
ステイ先の私のお部屋に飾ってあった言葉です。
コメント
ほんと、よく決心して行ったね。
だからこそ経験できた色々な出来事は宝物!
私は子どもを行かせたことで、自分が行ったような気になってたなぁ。
その勇気と行動力を尊敬します。
決心するまではグズグズしてたけど、行く!と決めてからの行動は速かった!
元気で動ける時間には限りがある、とつくづく感じる今日この頃。
でも、心の年齢は行きつ戻りつ、「忘れもの」はいつでも取りに戻れる気がして、
これからも、少しずつ片づけていこうかと。。。
そして、「今だから出来たこと」に意味を持たせたいと思っています。。。