前にも書いたがホストファミリーはとてもいい人達だった。
ホストマザーは医療事務をしている人だった。お料理上手で、外交的で、よく「お友達と出かけるの」と外出した。そんな日の夕食は日本でいう「出来合いの総菜」が並ぶ時があった。そんな時も不味いと有名なイギリス料理ではなく、さりげなくアジア人受けする台湾料理などを買ってきてくれた。
毎食後には手作りブラウニーやアイスクリームタイムがあった。ワインと一緒に。
あの人達が大柄な理由がわかった。私の腹周りも成長していった・・・
学校で食べるお弁当も、おいしいサンドウィッチを作ってくれて、デザートもつけてくれた。
クラスメートの中では、リンゴ一個という家もあった。
その話を食卓ですると、ホストファザーは「ホストファミリーの風上にも置けない!学校に文句を言ってやる!」と真剣に怒っていた。
そして次の日のお弁当には「かわいそうなクラスメートにも分けてあげて」と沢山のブラウニーが入っていた。
なんて素敵な人達!!
でも、彼らは知っていたのだろうか。
ホストファミリーは色々ランク付けされていて、あなた達はSランク。どのランクのホストファミリーを選ぶかは、留学生が支払うお金で決まることを。
この家族には、学校の先生をしている娘さんがいて、よく小さな孫娘を預かっていた。
イギリスの保育園はものすごく保育料が高いらしく、どんな制度かはよく知らないが、「いつもいつも保育園ではお高くて・・・」みたいなことを言ってはおばあちゃんに預けていたようだ。
で、仕事帰りにお迎えに来て、ダンナも一緒にやってくる時もあった。
そして、たまに息子ファミリーもやってくるのだが、こちらは嫁と孫息子が必ず一緒。で、皆、私のようなよくわからない外国人が居ても、全く平気で、一緒の食卓を囲む。
なので、お世話になった2週間で静かだったのは、2、3日くらいで、とにかく、いつもにぎやかな家だった。
面白かったのは、夫婦とも嬉々として、娘の手伝いをして、孫娘をかわいがり、いつもウェルカムなのだが、息子ファミリーが来たときは、なんだかぎこちない。
原因は嫁。
帰ったあと、必ず、「あの子はちょっとわがままなのよ、、、」とか、「孫の教育もあまりできてないのよね・・・」とか、ちょっとした不満を言う。
私と同年代だったせいもあり、「あなたならわかるわよね」みたいな話をよくした、気がする。なんせ英語なんで、複雑な表現はわからなかったが、表情で推測。
実娘と息子嫁との明らかな待遇の違い。どこの国もいっしょだわ~と妙に納得。
ホストファミリーにとっても、私は若い学生ではないので、食べることと、3日に1度のお洗濯と掃除、世間話さえしていれば、あとはほぼ放置でよかった。愛犬のデイジーも懐いてくれたし。
学校が休みの時は、クラスメートの日本人が近くの観光地に誘ってくれた。みんな20代後半だったが、二回りも上のオバさんに親切にしてくれて、とても楽しかった。
私も今、20代だったらどんなによかっただろう・・・なんて、心底思った。
あと数か月学校に居て、そこからまた数か月ヨーロッパを旅したいといってたカナミちゃん(資金源は親なの??)半年後には日本へ帰って、新しい仕事を始めるんだといってたマサコちゃん。彼女たちにはこれからどんな未来が待っているのだろう。他人事でもワクワクした。
残念ながら私は50だ。
20代の頃、拾い忘れたピースを探して、イギリスまで一人で来たんだ。自力で。
ほんの少しの非日常を味わって、数日後には元いた場所に戻るんだ。
それでも満足だった。だって、待っていてくれる家族も、少しはアテにされてる仕事あるから。
何より体が限界だった。
そして夢のような2週間が終わった。
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