もう25年以上も前の話だが、「くたばれ専業主婦」という番組で、専業主婦と働き続ける母との討論が行われていた。
専業主婦組の主張は「小さな子どもを人に預けてまで働くなんて、子どもがかわいそうと思わないのか?」
ワーキングマザーは「けっこうなご身分で。税金も年金も自分で払ってなくて、いいですね」と受けて立つ。
お互い、一番痛い部分をいきなり伝家の宝刀でグサッと刺し合う感じの、討論というより、口論だった。
どこまで行っても、収集はつかず、変な感じで終わったのを覚えている。
ずっと働いてきた私達は、子どものちょっとした成長を見逃してしまっているかもしれず、少し悲しい思いをしていたのは事実なので、「子どもが気の毒」とか言われるのが一番辛い。
いいじゃないか、堂々と専業主婦です!で、なんで、わざわざ私達を責めてくるのか、と思っていた。
最近、キャリコンの勉強をし始めて、少しわかったことがある。
「少し子どもの手が離れたので働きたい。でも、子どものこと考えると、短時間のパートくらいしかなくて、そんなんじゃなくて、もっと社会の役に立つ仕事がしたくて・・・」という人が意外と多いのに気づいた。
私的には、小学校のうちはまだまだ母親が必要だから、経済的云々じゃなければ、もうしばらくは家に居てあげた方がいいのでは?せっかく今までそばにいてあげられたのに・・・と思っていた。
自分が出来なかったことだから。なぜ、そんなに焦って働きたがるのか、ちょっと理解できなかった。
ロールプレイでの会話のなかで、はっとしたキーワードがあった。「社会の役に立ちたくて」、「自分の価値って・・・」
ああ、そうなのか。今までずっと家で子ども世話をしてきて、少しだけ手が離れて、ぽっかり空いた時間ができたとたん、いきなり社会に取り残された感が出てくるのかもしれない。
だから、あの討論会での専業主婦は、子どもを人に預けて、仕事し続けて、社会人気取りのワーキングマザーが鼻について仕方がなかったのかもしれない。だから、一番残酷な言葉を使って口撃したのかもな。「私だって社会で働きたい!」という焦りの裏返しだったのかもしれない。なのに、税金払ってないだの、年金払ってないだの、まるで社会の役にたってない、みたいな反論されて、さぞかし頭に血がのぼったことだろう。
あんな無駄な、誰も幸せにならない討論のテーマは間違っている。二度とやってほしくないな。
ウチの地域は専業主婦率が高かったので、小学校の学校行事の時には随分助けてもらった。PTAなんかも、休日に参加できるようなものを当ててもらって、有難かった。
私に当時の彼女たちの葛藤は見えてなかった。
自分のことで、精いっぱいで。ワーママだけが大変な思いをしていると思い込んでいた。だからこんなことを書くに至った。
少し反省しています。キャリコンになれたら、働く母たちだけじゃなく、こんな葛藤を抱えた母たちにも寄り添えるようになりたいな。
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